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映画『アバター』 ― 自然と人間の関係を考えてみる ―
監督・脚本:ジェームズ・キャメロン / 製作:ジェームズ・キャメロン、ジョン・ランドー / 製作総指揮:コリン・ウィルソン / キャスト:サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、シガニー・ウィーバー、スティーブン・ラング、ミッシェル・ロドリゲス / 原題:Avatar / 製作年:2009年 / 製作国:アメリカ / 配給:20世紀フォックス映画 / 上映時間:162分
映画『アバター』は、2009年に公開されたジェームズ・キャメロン監督作のSF映画だ。
3D映像による劇場公開が大きな話題を呼び、世界興行収入が歴代1位となる26億4000万ドルを記録した。
ポリフェマスの衛星パンドラにある希少資源を求める人類が、そこに住む先住民族ナヴィらと争うことでストーリーが展開していく。
ここには、自然と人間の対立というテーマが描かれていると思うが、同じく自然と人間をテーマにした映画『もののけ姫』とは、決定的に異なる描き方がされているように感じた。
3DやCGで描かれた映像自体は、多くの映画評論家が絶賛し、映画監督の押井守は「10年かけても追いつけない。笑えるほど完敗でした。」と述べている。
自然と人間の関係
私は以前、映画『もののけ姫』の中で宮崎駿が描いた自然観について触れたことがある(「映画『もののけ姫』ーアシタカと現代の若者ー」)。
宮崎駿は主人公アシタカを通して、環境破壊が悪だと言うのではなく、人間が暮らしていくこと自体が環境破壊に繋がってしまうという複雑な価値観を描いていたと思う。
しかし、それに比べて、『アバター』では「環境破壊は悪だ」という結論で終わってしまっているように感じた。
アバターとしてナヴィ達の信頼を得ていくジェイクは、やがてナヴィ達が星の自然を守ることを手助けし、希少資源を奪おうとする人類と対立することになる。
最後には、見事に星の自然を守りきり、ジェイクはナヴィ達に迎え入れられて生きて行く。
これを『もののけ姫』で例えて言えば、アシタカがサン達と共に戦い、エボシらを倒してハッピーエンドを迎えるといった展開だろうか。
『もののけ姫』で描かれたストーリーはそのようなものではなく、人間がもつ文明を肯定しながらも、環境破壊に危機感を抱かせるものだった。
映画『アバター』で描かれたように「環境破壊は悪だ」と言ってしまうのは簡単かもしれない。
しかし、人間が生きていくことは、ある意味環境破壊に繋がってしまう。
そうだとすれば、せめて自然に対する謙虚さを持って環境問題を考えていかなけらばいけないのではないかと感じた。
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