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映画 『イノセンス』 ― アンドロイドの未来 ―
監督:押井守 / 製作:石川光久 / プロデューサー:石川光久、鈴木敏夫 / 原作:士郎正宗 / キャスト(声の出演):大塚明夫、山寺宏一、田中敦子、大木民夫、仲野裕 / 製作年:2004年 / 製作国:日本 / 配給:東宝 / 上映時間:99分
映画『イノセンス』は2004年に公開された押井守映画監督の代表作だ。
実はこの物語は映画のみで完結する作品ではなく攻殻機動隊というアニメシリーズの上に構成されているので、予備知識なしで観るにはとても難解すぎる。
では予備知識があれば容易に理解できるのかといえば、それも違う。
内容自体がとても難解なのである。
私は、知人の勧めでこの作品を観たのだが、初めはとても理解できるものではなかった。
ただ、何かとてつもなく重要なテーマを扱っていることを感じ、その緻密に描かれた映像美と相まってどんどん映画の世界に引き込まれていった。
哲学的テーマである以上、人によって内容の解釈は様々であろうが、ここでは私なりに感じたことをまとめてみたいと思う。
(『イノセンス』に関する基本的内容は以下を参照すると良い。劇中の台詞には文学作品などからの引用も多く、どこから引用されているのか参考になる。)
映画「イノセンス」で押井守が言いたかった事【考察】 – NAVER まとめ
自分が存在するとはどういうことか
劇中では、人間と人形を対峙させながら、人間のみが持つであろう自意識について深い問いかけがされている。
デカルト(1596-1650年)は「物心二元論」を提唱したが、人はときに心と身体を別のものように捉え、自分の存在の根拠に不安を覚えるのではないだろうか。
身体としての自己が死を迎えたあと、魂としての自分は果たしてどこへ行くのだろうかといった疑問は古代より繰り返されてきたはずだ。
そもそもなぜ人間は自意識を持つのだろうか。さらには本当に自意識を持つのは人間だけなのだろうか。
私はその疑問を解く鍵は「言葉」の存在にあると思う。
人は言葉を操ることにより2つのことを可能にしたと言われる。
一つは「コミュニケーション」であり、もう一つは「思考」である。
言葉を用いることで人は高度な思考をするようになった。
言葉はこの世に存在するものだけではなく、「神」や「心」といった抽象的なものまで表現することを可能にした。
もし言葉がなかったら「神」は存在しただろうか。
もし言葉がなかったら「心」は存在しただろうか。
そして、もし言葉がなかったら「自分」は存在したであろうか。
そのように考えてみると自意識というのは言葉の存在の上に成り立つ幻想のようなものなのかもしれない。
デカルトが言う「我思う(思考する)、ゆえに我あり」というのは、このような解釈の上でも成り立つだろう。
では自意識を持つのは人間だけと考えるのはいかがだろうか。
もし人間のように高度な言語を駆使する動物がいれば、はたまたアンドロイドができてしまえば、自意識を持つこともあるかもしれない。
【関連サイト】
映画「イノセンス」で押井守が言いたかった事【考察】 – NAVER まとめ
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